相続
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認知症になったら、何が困るのか? 成年後見制度では相続税対策は解決できない?
高齢化社会と核家族化の進行に伴い、急速に増加を続けている認知症。厚生労働省の発表によると約4人に1人が65歳以上を占めるそうです。さらに85歳以上になると4人に1人は、認知症の時代だと言われています。そこで有効とされるのが家族信託という方法です。
しかし、聞き馴染みのない家族信託という方法ではなく、成年後見制度では、解決できないのでしょうか?
成年後見制度を活用した場合、不動産を売却処分するためでなく、リフォームをする際でも、裁判所の許可が必要になってきます。その都度、細かい報告書の作成・提出が必要になり、わずらわしい事務手続きがつきまといます。
そもそも、成年後見制度の趣旨は、家庭裁判所の監督の下、財産を守り管理することを目的としています。したがって、売却なども簡単には行えません。建物が老朽化していても、修繕や建て替えの許可が下りないことも少なくありません。
では、「成年後見制度を活用した後に相続税対策できるのか?」という問題があります。
相続税対策は誰にとっての利益でしょうか。相続税が減少して利益を享受するのは、被後見人ではなく、相続人です。
成年後見制度の趣旨は、財産を増やすでもなく、減らすでもなく、あくまで本人の財産保護です。したがって、成年後見制度活用後は、相続税対策は原則としてできないと考えるべきでしょう。もちろん、子どもや孫へ生前贈与することはおろか、空き家になってしまった際の売却や、修繕による有効活用、相続にも大きな影響が出てきます。
成年後見制度を活用すると、柔軟な資産運用や資産管理ができない点が弱点です。
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従来の財産管理や各種制度 家族信託・民事信託が注目を集める前は、次のような制度が活用されていました。
1.生前贈与
生前贈与は、昔から一般的に活用されてきた方法です。財産の所有者(=贈与者)から子供や孫若しくは第三者(=受像者)へ生前に財産を渡す方式ですので、所有権も贈与者から受贈者へ移転します。その際に、不動産取得税、登録免許税も発生します。なによりも贈与税が最大の課題になります。
2財産管理会社への資産移転
これは、個人の財産を法人へ資産移転する方法です。法人へ移すことで、個人の資産が減少することから、所得税対策、相続税対策になります。不動産オーナーのために、不動産建物を簿価で譲渡しますが、登録免許税・不動産取得税が贈与と同じように課題になります。
3遺言及び死因贈与契約
これは、のちほど具体的に説明しますが、二次相続以降の指定が出来ないことが課題になります。4、エンディングノート
葬儀社の終活セミナーなどでよく使われますが、あくまで心情的な要素を書くことになります。遺言のように財産についての効力はありません。遺言は死をイメージするので、書きたくない!と言う方もいらっしゃいますので、そういった意味では、遺言書よりもフランクに考えることができます。
5、成年後見制度
認知症になった際に活用する制度です。これも後ほど説明しますが、家庭裁判所が選任にした後見人が被後見人の財産を管理することになります。後見制度の趣旨は、本人の財産保護です。つまり、相続税対策は。本人の利益ではいので、財産が動かせないのが最大の弱点になります。
6、委任契約及び死後事務委任契約
委任契約は、簡潔に説明すると、代理と考えてください。金融機関の手続きを代理する場合があります。しかし、認知症になったら本人確認ができないのが最大の弱点です。
7、生命保険
例えば、愛人や同性愛者を保険金受取人はできません。つまり、契約に縛りがあることが弱点です。
8、種類株式(無議決権化・黄金株など)
「種類株式」とは、さまざまな条件について普通株式とは異なる権利、内容を持つ株式のことです。事業承継等で活用されますが、種類株式の導入には、全員の同意が必要になりますので、手続きが煩雑という課題があります。
これらを包含するのが、家族信託・民事信託の位置づけになります。
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- 家族信託を設計してみよう
家族信託を設計してみよう この章では、実際に信託を活用する際の流れをご紹介します。
次の項目をお考え頂いた上で専門家へご相談頂くと、スムーズにお話ができるのではないかと思います。どうやって決めればいいか分からないという場合は、相談しながら決めていけば良いでしょう。
(1)目的を明確にする
何より大事なのは、皆様がご自身の財産をどうしたいのかという「想い」ですから、その「想い」を明確にしていく作業から始まります。まずは、次のチェック項目の中にご自身に当てはまるものがあれば、チェックを入れてみてください。
□ 自分が元気なうちに財産の分け方を決めておきたい
□ 相続人の遺産分割協議がまとまりそうにない
□ 財産の管理を誰かに任せたい
□ 認知症が心配
□ 近い将来不動産の処分を考えている
□ 複数人で共有している不動産をどうにかしたい
□ 二次相続以降に不安がある
□ 会社を後継者に引き継ぎたいが方法が分からない
□ 先祖伝来の不動産は代々引き継いでほしい
□ 自分の死後、生活が心配な相続人がいる(障がいをお持ちの方など)
□その他( )(2)当事者を誰にするか
次に、それぞれの役割を担ってくれる方がいらっしゃるか、誰に財産を引き継いでいきたいかを考えていきます。
委託者:皆様ご自身
受託者:
第一次受益者:
第二次受益者:
第三次受益者:
※委託者と受益者が異なる時は、贈与税が発生します。
□ 信託を監督する人を設けたい → 信託監督人:
□ 自分に代って受益権を行使してくれる人を決めたい → 受益者代理人:
□ 受益者に指定した人が適切に受益権を行使するのが難しい(認知症・未成年・精神上の障がいなど)
→ 受益者代理人:(3)何を信託するのか
相続対策の手順に従って、まずは財産の棚卸しをして下さい。その上で、信託する財産を決めていきます。□ 不動産
□ 現金
□ 株式
□ その他( )
(4) 信託の始まりと終わり
信託をいつから、いつまで継続させるのかを決めます。信託の始まり
□ 今すぐにでも始めたい
□ 自分が認知症になったら
□ 自分が亡くなってから
□ その他( )信託の終わり( )
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信託は遺留分が発生しない? 信託を活用した場合、遺留分は発生しない!と言われています。
しかし、遺留分留分に関しては、残念ながら現時点では答えはありません。これからの裁判の判例を待つしかありません。何故、見解が分かれるのかについて、それぞれの視点で説明しましょう。
遺留分にならない派
①信託法は、受益者の取得する受益権は「相続によるもの」若しくは「新たに債権を取得するもの」どちらかを選択できると規定しています。つまり、相続ではないので、遺留分は発生しない。
②民法は一般法であり、信託法は特別法なのですが、法律上は、特別法が優先するというルールがあります。したがって、信託法の規定に従うなら遺留分も発生しない。
③上記の考えに基づくと、相続ではないので、相続税が発生しないことになります。
国税局としては、相続人から「相続ではないので、相続税を支払いません。」と主張されると困ります。そこで、受益権の相続は、「みなし相続税」扱いに変更しました。したがって、国税局も相続ではないと認めている主張が成り立つので、遺留分は発生しない。遺留分になる派
①生命保険の判例と同様に、極度に侵害しているものは、相続人の正当な権利を妨害している。したがって、遺留分は発生するべきだ。
このような対立があります。ちなみに、個人的には、遺留分は発生する側に立っています。
例えば、父A、母B、長男C、次男D、孫E。
委託者A、受託者X、第一次受益者A、第二次受益者B、第三次受益者Cとした場合。
委託者Aが死亡した後の1番目の受益者Bが受益権を取得した段階でのみ、Dの遺留分減殺請求が認められますが、2番目以降では遺留分減殺請求は認められないと解されています。
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家族信託を活用すると二代先(孫)以降の相続を決められる? 一代限りという遺言の弱点をカバーすることができる家族信託
「誰に、どの財産を残すのか?」を、残しておく方法として知られているのが、遺言です。
この遺言書にも、成年後見制度と同様に弱点があります。例えば、「不動産をAに相続させる。ただしAが死亡した場合には、孫のBに相続させる」と遺言書を遺しても、実は、この内容は無効なのです。
いったん相続されてしまった財産は、別の相続人に取得させること効力がないからです。
そのため相続人Aによって、自由に使用されることになります。つまり、遺言の効力は、一代限りです。
もし、上記のような遺言を達成しようと思ったら、Aにも遺言を遺してもらう必要がありますが、Aの気持ちが変わった場合は、残念ながら達成することができません。しかし、家族信託の場合であれば、二次相続以降も指定できます!
その仕組みを説明しましょう。この仕組みは、後継遺贈型受益者連続信託と呼ばれています。
たとえば、家族信託において「委託者=父」「受託者=次男」「受益者=父」に設定します。信託の場合は、受益者を何世代も指定できます。つまり、父が亡くなった際の第二受益者を長男に設定しておきます。そして長男が亡くなった際の第三受益者を長男の妻にしておきます。そして妻が亡くなった際に、信託契約を終了しても良いですし、第四受益者として次男を設定しておくことも有効です。
委託者の意向に沿った形で、財産の動きを管理・運用することができる方法です。
信託銀行や信託機関ではなく、信頼のおける家族や親族を受託者にし、信託契約を結ぶことで、二代先、三代先への相続を指定し、安心して財産の帰属先を操作することが可能になります。自分の遺産を相続した者が死亡した場合に、誰に受益権を引き継がせるのか?の指定をしておくことができます。そのため二代先の相続を指定できるという大きなメリットが出てきます。
よく見られるケースは、お子さまのいないご夫妻で、妻を相続人にした後に、妻が亡くなってしまった際の財産の行方を決めておきたいという方、また再婚した後妻を相続人にし、その次に受益権を前妻との子どもに渡したい方などの事例も見受けられます。
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信託の方法は実は三種類ある!? ①契約信託
委託者と受託者との間で信託契約書を結ぶことで、信託がスタートする方法です。この信託契約書は、必ずしも公正証書にする必要はありません。ケースによっては公正証書にします。
ただし、公証役場で確定日付や認証は行うことをオススメします。費用は1通700円くらいです。
なぜ確定日付をいれるのか?
契約書はワードで作成しますので、データを改ざんされてしまうと、本当にその日に作成したのかが不透明になってしまうからです。つまり、税務署が税務調査をした場合、贈与や信託の日付が本当に正しいのか疑われないように対策するためです。公証役場にいる公証人が日付入りのスタンプを押すことは、税務署も疑いの余地がありません。②遺言信託
委託者は、信託契約ではなく、遺言書の中に、「委託者が亡くなったら、信託を発生させたい。」というような中身を記載します。つまり、亡くなった瞬間に信託の効力が発動します。
さて、もしかすると、勘のいい方はお気づきかもしれませんが、違和感ありませんか?「あれ?遺言信託?どこかの銀行がやっていた名前と同じではないか」
そうなのです。銀行がサービス提供している商品に「遺言信託」があります。
実は、遺言信託は「信託」という名前こそ付いていますが、厳密には第三者に財産の管理を委ねる「信託」そのものではありません!あくまでもお客様が遺言書を信託銀行に預けて、信託銀行がその遺言書に基づいて遺言を執行することをいいます。つまり、遺言信託は「遺言文案+遺言保管+遺言執行」のサービス名称にすぎません。これを誤解しているお客様が非常に多いです・・・
金融機関がお話している遺言信託はどちらの意味なのかを分けて考えて頂く必要があります。
銀行の遺言信託では、二次相続以降の引き継ぎ先は決めることが出来ないので、大事なのは、ご自信がどういう想いで財産を残したいかですね。そして、遺言信託は公正証書ですることをオススメします。③自己信託
ある日、自分の財産を信託します。という宣言をすることで信託を発動させる方法です。
つまり、委託者と受託者と受益者が同じ方法です。これに関しては、公正証書で作成します。ただし、注意点としては、受託者と受益者が同一の状態が1年間続いた場合は、信託が終了するという1年ルールがありますので、受益者を複数にするのか、受益者の変更を行う必要があります。
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