非上場株式
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今、家族信託が熱い!マイナンバー、クラウドに次ぐ第三極になるか! (第4回) 税理士・司法書士が取り組むべき事例!
税理士のクライアントである経営者の中には、下記のような悩みを抱えている方がいらっしゃいます。もし、該当する項目があれば、家族信託を提案してみてはいかがでしょうか?
「非上場株式」を信託した場合、株式の権利行使は「受託者」に移ります。税理士としては、決算書の別表2の株主記載が変更する必要があります。注意点として、株式の譲渡制限が設定されている場合は、承認決議を必要とします。株式を信託した場合、実務上は、法人に内容証明郵便で通知を出します。
さて、上記のチェックシートに記載あります信託活用事例をご紹介します。
まず1つ目は、議決権集約型信託です。
議決権集約型信託とは、株主が死亡した時に、相続人が複数おり、将来、遺産分割協議で揉める可能性がある場合や現在、すでに株主構成が複雑であり、議決権を集約したい場合に、信託を活用する方法です。
2つ目は、認知症対策信託です。
この特集でも何度も登場しましたが、いわゆる認知症対策です。中小企業の株主構成は、株主兼社長が非常に多く見受けられます。しかし、株主1名が認知症になってしまった場合は、議決権を行使することができず、経営がストップしてしまいます。そこで、株式を贈与ではなく、信託をすることで、経営がストップすることを防ぐ方法です。
3つ目は、議決権指図信託です。
議決権指図信託とは、上記の認知症対策でも、株式を承継先に移転させるには、まだ時期尚早だとおっしゃる経営者がいらっしゃいます。中には、株式を譲渡するにしても株価が高いので、コスト負担が気になる方もいらっしゃいます。そこで、株式だけは受託者に移転させますが、経営者が元気なうちは、議決権保有者である受託者に対して、議決権行使について指図することができるように指図権を経営者に持たせる方法です。
4つ目は、承継者指定信託です。
承継者指定信託とは、後継者である受益者を誰にすべきか決めることができない経営者の方向けです。株式は信託しますが、信託時点では、受益者を決める必要はありません。ただし、経営者の方は、受益者指定権者を決める必要があります。受益者指定権とは、後継者である受益者を決める権利です。最終的に、後継者の指定を受益者指定権者に委ねる方法です。
第3回、第4回に渡りご紹介した事例は、ほんの一例に過ぎません。
信託法研究の第一人者である四宮和夫先生は,「信託は,その目的が不法や不能でないかぎり,どのような目的のためにも設定されることが可能である。したがって、信託の事例は無数にありうるわけで,それを制限するものがあるとすれば,それは法律家や実務家の想像力の欠如にほかならない。」(「信託法」15頁)と述べています。
信託は、私たち士業にとっても、クライアントにとってもイノベーションです。
是非、新たな財産管理の時代を築いていきましょう!
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- その他の制度との比較
従来の財産管理や各種制度 家族信託・民事信託が注目を集める前は、次のような制度が活用されていました。
1.生前贈与
生前贈与は、昔から一般的に活用されてきた方法です。財産の所有者(=贈与者)から子供や孫若しくは第三者(=受像者)へ生前に財産を渡す方式ですので、所有権も贈与者から受贈者へ移転します。その際に、不動産取得税、登録免許税も発生します。なによりも贈与税が最大の課題になります。
2財産管理会社への資産移転
これは、個人の財産を法人へ資産移転する方法です。法人へ移すことで、個人の資産が減少することから、所得税対策、相続税対策になります。不動産オーナーのために、不動産建物を簿価で譲渡しますが、登録免許税・不動産取得税が贈与と同じように課題になります。
3遺言及び死因贈与契約
これは、のちほど具体的に説明しますが、二次相続以降の指定が出来ないことが課題になります。4、エンディングノート
葬儀社の終活セミナーなどでよく使われますが、あくまで心情的な要素を書くことになります。遺言のように財産についての効力はありません。遺言は死をイメージするので、書きたくない!と言う方もいらっしゃいますので、そういった意味では、遺言書よりもフランクに考えることができます。
5、成年後見制度
認知症になった際に活用する制度です。これも後ほど説明しますが、家庭裁判所が選任にした後見人が被後見人の財産を管理することになります。後見制度の趣旨は、本人の財産保護です。つまり、相続税対策は。本人の利益ではいので、財産が動かせないのが最大の弱点になります。
6、委任契約及び死後事務委任契約
委任契約は、簡潔に説明すると、代理と考えてください。金融機関の手続きを代理する場合があります。しかし、認知症になったら本人確認ができないのが最大の弱点です。
7、生命保険
例えば、愛人や同性愛者を保険金受取人はできません。つまり、契約に縛りがあることが弱点です。
8、種類株式(無議決権化・黄金株など)
「種類株式」とは、さまざまな条件について普通株式とは異なる権利、内容を持つ株式のことです。事業承継等で活用されますが、種類株式の導入には、全員の同意が必要になりますので、手続きが煩雑という課題があります。
これらを包含するのが、家族信託・民事信託の位置づけになります。
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