解決事例

事業承継に備えるケース

ご家族関係 本人A、妻B、長男C
本人の財産 1.不動産 ご自宅 
2.預貯金 約3000万円
3.自社株 総株式数1000株のうち1000株
解決方法 株式信託

状況

Aさんは、自分が経営している会社を、将来的に長男Cに継がせたいと考えています。
長男Cが経営権を持つためには、Aさんが持っている自社株800株を長男Cへ渡さなければなりません。
ただ、現時点で長男Cの経営能力がまだ十分でない。株価が高く、贈与だと贈与税、売買だと売買代金の資金調達の問題があると考えてます。
しかし、Aさんももう75歳を超え、自分の健康にも不安を覚えてきました。
自社株の全てを持っている自分に何かあったときに経営がストップしてしまう事態だけは避けたいと危機感を感じたとのことです。

そこで、Aさんは長男Cにも相談して、何か対策がないか専門家に聞いてみようと相談にいらしたそうです。

提案

委託者をA、受託者をC、受益者をAとする株式信託を提案しました。
まずは、自益信託の形を採って贈与税の発生を回避しつつ、自社株については、受託者であるCさんが議決権の行使を行うことになります。
Aさんが、まだ経営権を渡すには早いと仰っていたことを考えると、議決権の行使を指図できる「指図権」というものをAさんが持つようにします。
「指図権」をAさんが持つことで、Aさんが元気な間はAさんが受託者のBさんに指図をすることで議決権を行使することができ、万が一認知症等で判断ができなくなった時は、Cさんが議決権を行使できるようにしておくという構図が出来上がります。
また、信託によって株式の議決権が凍結してしまうリスクを回避しつつ、株価対策を行い、Cさんに少しずつ株を譲渡していくことも可能です。
(Aさんの受益権を少しづつCさんに譲渡していくことで、通常の株式譲渡と同じような効果が生まれます。)
Aさんに相続が発生した場合には、Cさんがすべての株式を取得できるように最終帰属権利者を後継者に指定しておくことも可能です。

結果

【解決までの流れ】

何回も訪問させて頂き提案内容につきご説明を行いました。
信託を活用した事例が少ないことに不安を感じられていました。
確かに信託は判例もほとんどなく、将来、信託契約のメンテナンスが必要となる可能性は高いです。
しかし、最終的には、ご親戚に認知症になられた方がいらっしゃったこともあり、そちらの不安の方が大きかったため、何もしないリスクよりも信託を活用した場合のリスクを取ると決断されました。
一定程度の組成件数及び実例がある事務所が担当することも、信託契約に将来、変更の必要などが生じた場合の安心材料となります。

 

【解決のポイント・民事信託を使う効果】

多くの株式を保有している社長様の場合、認知症になってしまい、議決権が行使できないのは非常に大きなリスクです。(会社の運営、役員報酬にかかる事項等様々なものが凍結するリスクがあります。)
しかし、まだ後継者が育っていないため、会社を任せるには早いと考える社長が多いのも確かです。
今回のように、贈与税を発生させずに株式を承継させ、元気なうちに議決権の行使につき指示ができるのは、信託ならではの手法だと言えます。