東京地裁で民事信託での遺留分に関する裁判例が出ました

平成30年9月12日、東京地歳で民事信託契約に関する裁判例が出ました。

民事信託が普及し始めてから遺留分と信託についての議論が多方面で行われて来ました。
地裁レベルではございますが、昨年、東京地裁で民事信託契約に関する裁判例が出ましたので、
その概略をご紹します。

前提条件

・被相続人A  推定相続人(子)X,B, Yの3名

・Aの保有財産 土地建物計16筆 預貯金 有価証券

事案

Aは、Aが亡くなる半月前に全財産の3分の1をBに、3分の2をYに死因贈与する契約を締結した。その直後Aを委託者兼受益者、Yを受託者とする民事信託契約を締結した。

上記民事信託契約には、A死亡後、X6分の1、B6分の1、Y6分の4の割合で子3人が受益権を取得する旨の定めがあり、その受益権の内容は、信託不動産の売買代金や賃料等、信託不動産より発生する経済的利益を受けることができるというものでした。

その後、Aは亡くなり、Xが上記信託契約は無効であるという主張に基づき、信託に基づく所有権移転登記の抹消請求等を行ったというものです。

判決の内容

東京地裁は、本件信託契約につき以下のような見解を示しました。

信託した不動産は、一部に賃料は発生しているものの不動産全体の価値に比べて少額で、当該不動産全体を賃借し相応の収益を上げることや、売却を行うのは現実的に不可能なものであることから、被相続人Aは信託設定時から受益権による経済的利益の分配を想定していなかったと認めるのが相当であるとした。

また、本件では、もしXが遺留分減殺請求を行い6分の1以上の受益権割合をたとえ取得したとしても不動産のほとんどがそもそも経済的利益を生んでいないことから、本件信託契約からXは遺留分に値する経済的利益を得ることは不可能であると判断した。

※受益権取得請求については割愛致します※

以上のことから、本件信託契約の経済的利益の生じない不動産を大きく含めた部分については、「遺留分制度を潜脱する意図で信託制度を利用したものであって、公序良俗に反し無効というべきである」との結論となった。

なお、以前から盛んに行われてきた遺留分の減殺請求を行う対象は、【信託財産そのもの】なのか【受益権】なのかという議論について、今回東京地裁は、受益権を遺留分の減殺対象にすべきと判断しています。

みつ葉グループとしての取り組み

みつ葉グループでは、民事信託のサポートサービスを開始した当初から、信託と遺留分の直接的な取扱については言及してこなかったものの、セミナー等で、将来、平等原則に照らした何かしらの判決が出るだろうとお話してまいりました。

今回は、地裁レベルではあっても裁判所が信託と遺留分について初めて踏み込んだ判断をしたものとなりました。今後、本判決が、信託実務にいかなる影響を与えていくのか、注視してまいりたいと思います。

現在、本件裁判は東京高等裁判所へ控訴中です。また新しい情報が入り次第こちらへ掲載させていただきます。

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